相続が起きたときに必要となる手続きの種類
1 相続手続きの全体像を把握することの重要性 2 相続人調査と相続財産の把握 3 遺言書の有無を確認し、必要に応じて検認を受ける 4 遺産分割協議・遺産分割協議書の作成 5 不動産の相続登記を行う 6 預貯金の解約・払い戻し、有価証券の名義変更 7 生命保険金や死亡退職金の請求 8 相続税申告・納付 9 相続にお悩みの際は早めに専門家へ相談しましょう
1 相続手続きの全体像を把握することの重要性
ご家族がお亡くなりになった直後は、葬儀や行政機関への届出などに追われる中で、相続財産に関する手続きも並行して進めなければなりません。
一方、相続は一般の方にとっては一生のうちに数回しか経験しないものであり、かつ手続きは複雑で専門的なものであるため、何から着手すべきか分からないという方も多いと考えられます。
適切に手続きを進めるためには、まず必要となる手続きの内容や全体の流れを把握することが大切です。
以下、相続が発生した際に必要となる主な手続きの種類を、順を追って説明します。
2 相続人調査と相続財産の把握
多くの相続手続きの前提となるのが、誰が相続人であるか、および相続の対象となる財産は何かを確認する作業です。
相続人を確定させるためには、基本的には亡くなった人(被相続人)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本と、すべての相続人の戸籍謄本を収集します。
代襲相続が生じている場合や、兄弟姉妹が相続人となるケースでは、必要な戸籍が増えることもあります。
相続財産の調査では、被相続人の預貯金、不動産、有価証券などのプラスの財産に加え、借入金などの負債もすべて把握します。
相続税申告の可能性がある場合、生命保険金や死亡退職金の金額も確認しておきます。
そのうえで、財産を一覧化した財産目録を作成しておくと、遺産分割協議や相続税申告を円滑に進められるようになります。
3 遺言書の有無を確認し、必要に応じて検認を受ける
被相続人が遺言をしている場合、相続手続きの進め方に大きく影響することがあります。
特に自筆証書遺言(法務局で保管されていないもの)が見つかった時は、家庭裁判所で検認という手続きをする必要があります。
公正証書遺言や、法務局で保管されている自筆証書遺言については、検認は不要です。
4 遺産分割協議・遺産分割協議書の作成
遺言がない場合や、遺言に記載がない財産がある場合には、相続人全員で遺産分割協議を行い、財産の分け方を話し合います。
協議が整ったら、その内容を遺産分割協議書という書面に記します。
この書類は、不動産の相続登記や預貯金の払い戻しなど、後の手続きで必要となる重要な書類です。
実務上、相続人全員による署名・押印(実印)と印鑑証明書の添付が求められます。
5 不動産の相続登記を行う
不動産が相続財産に含まれている場合、法務局で相続登記(名義変更)を行います。
令和6年4月からは相続登記が義務化され、基本的には相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記を行わない場合、過料が科される可能性があります。
登記の際には、相続登記申請書のほか、相続関係を証明する戸籍謄本類や遺産分割協議書、印鑑証明書、登録免許税などが必要です。
相続登記を済ませておけば、売却や担保設定なども円滑に行えるようになります。
6 預貯金の解約・払い戻し、有価証券の名義変更
一般的に、金融機関は被相続人の死亡を知ると口座を凍結し、不正な引き出しを防ぎます。
その後、原則としては相続人が相続手続きを行わなければ預貯金の払い戻しや有価証券の売却はできません。
金融機関によって必要書類や手続きの流れは異なることがあるため、事前に確認することが大切です。
7 生命保険金や死亡退職金の請求
被相続人が生命保険に加入していた場合、受取人が保険会社へ死亡保険金を請求します。
一般的に死亡保険金は民法上の相続財産ではありませんが、相続税の課税対象となるため、支払金額と受取人が分かる書類を保管しておく必要があります。
被相続人の勤務先から死亡退職金が支給された場合も同様です。
8 相続税申告・納付
基本的には、相続財産の評価額が基礎控除額を超える場合、相続税申告と納付が必要になります。
申告および納付の期限は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内で、遅れると加算税や延滞税を課される可能性があります。
相続税の算定の際には、複雑な財産評価や特例の適用可否の判定など、専門的な知識を要求されることが多いため、多くの場合は税理士に依頼することになります。
9 相続にお悩みの際は早めに専門家へ相談しましょう
相続手続きは、戸籍収集から財産調査、遺産分割協議、不動産の登記、金融機関対応、税申告など多岐にわたり、資料や書類の不備があると手続き全体が滞ることもあります。
また、相続登記や相続税申告のように期限が定められている手続きもあり、対応が遅れるとペナルティが課されることもあります。
手続きを円滑に進めるためには、早めに相続手続きの全体像を整理し、必要に応じて行政書士、司法書士、税理士、弁護士などの専門家へ相談することが重要です。
専門家のサポートを受けることで、負担を軽減し、トラブルを未然に防ぎながら相続手続きを進めることができます。






























